「営業を強化したい。でも、人を採用すべきか、外注すべきか。」
この問いに悩む経営者・営業責任者の方は多いはずです。どちらも「営業力を上げる手段」として語られますが、実際に必要なコストや、成果が出るまでの期間は大きく異なります。
この記事では、営業担当者を1名採用した場合と、営業代行を活用した場合を、費用・立ち上げ期間・リスクの観点から具体的な数字を使って比較します。「なんとなく採用の方が安そう」「外注は高そう」という感覚ではなく、実態に基づいて判断できるよう整理しました。
自社採用にかかる「本当のコスト」を計算する

採用は、給与だけが費用ではありません。経営者や人事担当者が見落としがちな費用を含めて整理すると、想定よりはるかに大きな投資が必要なことがわかります。
まず、採用にかかる初期費用として、求人媒体への掲載料が発生します。転職サイトへの掲載は1掲載あたり20万〜50万円が相場です。人材紹介会社を使う場合は、内定承諾時に年収の30〜35%が成功報酬として請求されます。年収400万円の営業担当者であれば、それだけで120万〜140万円のコストです。
次に、月次で発生する固定費用です。給与・賞与・社会保険料を含めた実質的な人件費は、額面給与の1.2〜1.3倍とみるのが一般的です。月給30万円であれば、会社負担は月36万〜39万円。年間で430万〜470万円になります。
さらに、立ち上げにかかる見えないコストがあります。入社後すぐに成果を出せる営業担当者はほとんどいません。業界知識・商品理解・営業プロセスの習得に平均3〜6ヶ月かかります。この期間中は、育成担当者の時間コスト(既存社員の工数)も発生します。週5時間の指導が6ヶ月続くと、延べ120時間以上が育成に費やされる計算です。
加えて、採用がうまくいかなかった場合のリスクも考慮が必要です。試用期間中に合わないと判断した場合でも、採用コストと初期の人件費は回収できません。早期退職が発生すれば、再度の採用活動が始まります。
まとめると、採用から実働まで6ヶ月で試算した場合、初期費用+人件費だけで300万〜400万円前後の投資が必要になるケースが現実的です。
営業代行にかかる費用と契約の実態

営業代行の費用体系は、大きく「固定報酬型」「成果報酬型」「複合型」の3種類に分かれます。それぞれの特徴と相場を把握することが、適切な比較の前提となります。
固定報酬型は、月額で一定額を支払う形式です。アポイント件数・稼働時間・担当者数によって異なりますが、中小企業向けのサービスでは月額30万〜80万円が目安です。成果の有無にかかわらず費用が発生するため、依頼内容の明確化と進捗管理が重要になります。
成果報酬型は、アポイント1件あたり1万5千円〜3万円、あるいは受注時に売上の一定割合を支払う形式です。費用がゼロから始まるため財務リスクは低いですが、エージェント側が費用対効果の見込める案件を優先するため、難易度の高い商材や新規開拓に使いにくいケースもあります。
複合型(ハイブリッド型)は、固定報酬+成果報酬を組み合わせた形式で、近年の主流になりつつあります。固定報酬で稼働品質を確保しながら、成果に応じて追加報酬が発生する仕組みです。
費用面で自社採用と比較したとき、営業代行が有利な点は「成果が出なくても継続的に固定費が膨らまない」ことです。契約は通常3〜6ヶ月単位で見直しができ、方針転換も比較的柔軟に対応できます。一方、長期的に見れば自社採用の方が月次コストが安くなるケースもあるため、「何ヶ月使い続けるか」が判断の分かれ目になります。
立ち上げ期間の差が、実は最大の違いかもしれない

費用の比較だけでなく、「いつから実際に動けるか」という視点も、経営判断において非常に重要です。
自社採用の場合、稼働開始まで最短でも3〜4ヶ月かかります。求人掲載・書類選考・面接・内定・入社までのプロセスで1〜2ヶ月、その後の業務習得・トレーニングに2〜4ヶ月を要します。実際にターゲットリストへのアプローチが始まり、商談数が安定するまで、半年以上かかるケースがほとんどです。
一方、営業代行の場合、早ければ2〜4週間で実際のアプローチが始まります。キックオフミーティングでターゲット・商材・トークスクリプトを共有し、調整後すぐに稼働に入れる体制が整っています。既存の営業ノウハウや業界知識を持った担当者が動くため、初動のスピードが根本的に異なります。
この「立ち上げ期間の差」が経営上の意思決定にどう影響するかを考えてみてください。新商品の市場投入や、競合が動き出す前に受注を積み上げたい局面では、3〜6ヶ月の差が売上に直結します。スピードを優先したい場合、営業代行の方が機動性において明確に優れています。
また、採用した場合の「育成コスト」は目に見えにくいですが、既存の優秀な社員が週に何時間も教育に費やすことで、その社員自身の生産性が落ちるリスクもあります。採用はゼロから人を育てる行為であり、組織としての体力と時間的余裕が必要です。
それぞれが向いている会社の条件を整理する

費用と立ち上げ期間の比較を踏まえた上で、自社採用・営業代行それぞれに向いている条件を整理します。
自社採用が向いているケースは、以下のような状況です。
・すでに営業の型(トークスクリプト・プロセス・KPI)が確立されている
・採用に6ヶ月以上の準備期間と予算を確保できる
・長期的な組織づくりを前提にしており、育成に投資できる体制がある
・自社の商材が属人的な関係性や深いドメイン知識を必要とする
営業の型が整っていない段階で採用しても、教えることができず、新入社員が迷走するリスクがあります。採用は「仕組みがある組織への追加戦力」として機能します。
営業代行が向いているケースは、以下のような状況です。
・今すぐ新規顧客へのアプローチを始めたい
・営業の型がまだなく、どのトークや顧客層が刺さるかを検証したい
・採用コストを抑えながら売上を作りたい
・経営者や他のメンバーが兼務で営業しており、専念できる人材がいない
・特定の期間だけ営業力を強化したい(展示会前後、繁忙期など)
特に、「営業の型を作る」フェーズに営業代行を活用するのは有効な戦略です。どのターゲット層に何のメッセージが響くか、商談化率はどの段階で詰まるかを外部のプロと一緒に検証することで、将来的な採用時の育成指針にもなります。
営業代行を選ぶなら、何を基準に選ぶべきか

営業代行を活用すると判断した場合、どの会社に依頼するかで成果は大きく変わります。選定の際に確認すべきポイントを整理します。
1. 自社の業種・商材への理解があるか
BtoBかBtoCか、製品の単価帯、対象業種によって必要な営業スキルは異なります。事前の提案内容や担当者のヒアリングの質で、理解度を確認してください。
2. レポーティングの体制が明確か
週次・月次でどのような報告を受けられるか、KPIをどう設定するかを確認します。アポイント数だけでなく、商談化率・失注理由・ターゲット反応なども報告してくれる会社は信頼性が高いです。
3. 契約期間・解約条件が適切か
長期の縛りがある場合、成果が出ない状況でも費用だけが発生し続けるリスクがあります。3ヶ月ごとに評価・見直しができる柔軟な契約形態かどうかを確認してください。
4. 担当者の顔が見えるか
実際に電話をかけたりメールを送ったりするのは人間です。担当者のレベル感・コミュニケーションの質を事前に確認することが大切です。
静岡県内で中小企業向けの営業代行を検討している場合、株式会社momentが選択肢の一つとして挙げられます。静岡を拠点に、BtoB営業の新規開拓・インサイドセールスの設計・テレアポ支援などを手がけており、地元の中小企業特有の課題に対応した提案が受けられます。「まず何から始めればいいかわからない」という状態からでも、ヒアリングを通じて具体的なアクションを一緒に設計してくれる点が、単なる業務請負とは異なる特徴です。
まとめ

自社採用と営業代行の比較を、費用・立ち上げ期間・向いているケースの3軸で整理しました。
採用は「型が整った組織への追加投資」として機能する一方、営業代行は「今すぐ動き出す」「型を検証する」フェーズに強みがあります。初期コストと立ち上げ期間だけを比較すれば、多くの中小企業にとって営業代行の方がリスクが低く、スピードで勝ります。
一方で、長期的には自社に営業の仕組みと人材を持つことが競争力の源泉になります。理想は、営業代行で型を作り、検証結果をもとに採用・育成につなげていくハイブリッドな戦略です。
「採用か外注か」を0か1で考えるのではなく、今の自社のフェーズと目的に合わせて判断することが、2026年の営業強化における最も合理的なアプローチではないでしょうか。