人材業界は求人企業への新規開拓と、既存クライアントへの深耕営業の両方が求められる業界です。今回は、インサイドセールスの立ち上げを一から任せていただいた人材業界クライアントへの支援事例をご紹介します。専任担当を採用せずに新規開拓の流れをどう構築したのか、実際の進め方に沿って解説します。
課題:営業担当者が新規開拓に手が回らない

このクライアント企業では、営業担当者が既存クライアントの求人票更新や採用状況のフォローに追われ、新規の求人企業開拓に十分な時間を割けない状態が続いていました。インサイドセールスという役割自体は社内で議論されていたものの、専任担当を新たに採用する余裕がなく、立ち上げが先送りになっていたそうです。
加えて、人材業界特有の事情として、求人企業側の採用ニーズは季節や採用市場の状況によって変動しやすく、「今声をかけるべき企業」を見極めるための情報収集にも一定の時間がかかります。既存対応で手一杯の営業担当者にとって、この情報収集自体が新規開拓のハードルになっていました。
支援内容:立ち上げ期のインサイドセールスをまるごと代行
今回は、新規開拓の初期接点となる架電から、見込み度の判定、商談化した見込み先の情報整理までを一貫して代行しました。人材業界特有の言葉遣いや、求人企業側が気にするポイント(採用競合の状況、募集時期の緊急度など)をヒアリングしながら、トークの精度を初期の数週間で継続的に調整しています。
特に意識したのは、単に架電数をこなすことではなく、「今すぐ求人を出したい企業」と「時期を見ている企業」を見極め、優先度をつけて営業担当者に引き継ぐことです。すべての見込み先を同じ温度感で渡すのではなく、確度に応じて情報の粒度を変えて共有することで、営業担当者が商談前に準備すべきことを判断しやすくなるようにしました。
立ち上げ期は特に、クライアント企業の営業担当者との情報のすり合わせを密に行いました。週次で架電結果の傾向を共有し、「どんな断り文句が多いか」「どのような切り出し方だと反応が良いか」をフィードバックし合うことで、トークスクリプト自体も運用しながら改善していく形を取っています。こうした細かな調整を重ねることで、開始当初と比べて有効会話に至る割合が徐々に安定していきました。
支援後の変化

立ち上げから一定期間が経過し、営業担当者は既存クライアント対応に集中しながら、確度の高い新規の商談機会を継続的に受け取れる状態になりました。インサイドセールスの専任担当を新たに採用することなく、立ち上げ期の型作りを外部に任せる形で新規開拓の流れを作れた点が、このクライアントにとって大きな成果だったと捉えています。
また、架電を通じて蓄積した「求人企業側がどのタイミングで動き出しやすいか」という傾向データも、今後の営業活動の参考情報として共有しています。今後は、この立ち上げ期に作った型をもとに、社内での内製化を段階的に進めていく方向で相談を続けています。
立ち上げ期に外部を活用するという選択肢
インサイドセールスを社内で立ち上げる場合、担当者の採用・教育に加えて、トークスクリプトの設計や見込み度判定の基準づくりなど、成果が出るまでに複数の試行錯誤が必要になります。この試行錯誤の期間を短縮する手段として、立ち上げ期だけ外部に委託し、成果が出た型を社内に持ち帰るというやり方は、専任採用のリスクを取らずに新規開拓の仕組みを作りたい企業にとって現実的な選択肢の一つだと考えています。今回の事例のように、既存業務を抱えたまま新規開拓の手を止めたくない企業にとっては、特に有効な進め方だと言えます。
まとめ
人材業界に限らず、既存クライアント対応と新規開拓を同じ営業担当者が兼務している企業は少なくありません。インサイドセールスの立ち上げを内製化する前に、外部の力を借りて型を作り、優先度をつけた見込み先だけを引き継ぐ体制を先に作ることで、専任採用の負担なく新規開拓の流れを生み出すことができます。
