SaaS企業の新規開拓では、リード数自体は確保できていても、そこから商談化する割合が伸び悩むという相談をよくいただきます。今回は、リードは一定数集まっているものの商談化率が低い状態が続いていたSaaS企業クライアントへの支援事例をご紹介します。何を見直したことで商談化率が改善したのか、具体的な進め方に沿って解説します。
課題:リードはあるのに商談化しない

このクライアント企業では、Webサイトからの問い合わせや資料請求を通じて一定数のリードを獲得できていました。しかし、そのリードに対して架電しても商談の設定に至らないケースが多く、「せっかく獲得したリードが有効活用できていない」という課題を抱えていました。
詳しく状況を伺うと、リードの獲得経路や検討フェーズに関わらず、すべてのリードに対して同じトークで一律に架電していたことが分かりました。資料をダウンロードしただけの情報収集段階のリードと、価格ページを閲覧してから問い合わせてきたリードでは、本来アプローチの仕方を変える必要があります。
さらに、架電のタイミングにもばらつきがあり、リード獲得から数日経ってから架電するケースも珍しくありませんでした。SaaSサービスの検討はスピード感が重視されやすく、この時間差が反応率の低下につながっている可能性も見えてきました。
支援内容:リードの温度感に応じたアプローチ設計
まず着手したのは、リードの獲得経路や行動履歴をもとに、温度感を段階分けすることでした。情報収集段階のリードには、まず課題のヒアリングを中心にした架電を行い、無理に商談化を急がない設計にしました。一方、比較検討段階に近いリードには、具体的な導入イメージや価格帯の話まで踏み込んだトークを用意し、商談への流れを作りやすくしています。
また、架電のタイミングも見直しました。リード獲得から時間が経つほど反応率が下がる傾向が見えたため、獲得後できるだけ早いタイミングで最初の架電を行う運用に切り替えています。
加えて、架電で得られた反応をリードの行動履歴と突き合わせて記録することで、「どのような行動を取ったリードが商談化しやすいか」の傾向を蓄積する仕組みも並行して整えました。この傾向データは、その後のアプローチ設計を継続的に見直す際の判断材料として活用しています。
支援後の変化

リードの温度感に応じてトークを使い分けるようになったことで、情報収集段階のリードに対して無理に商談化を迫ることがなくなり、結果として「話を聞いてもらえた」という印象を持ってもらいやすくなりました。比較検討段階のリードについても、価格や導入イメージに早い段階で触れることで、商談設定までの流れがスムーズになっています。
架電のタイミングを早めたことも含めて、複数の改善を積み重ねた結果、商談化に至るリードの割合は着実に改善しており、クライアントの営業担当者からも「渡されるリードの質が上がった」という反応をいただいています。
今後は、蓄積してきた反応データをもとに、リードのスコアリング基準そのものをより精緻化し、架電の優先順位付けをさらに最適化していく方向で継続的に取り組んでいます。
今後の展望
今回の取り組みを通じて見えてきたのは、リード獲得数を追加で増やすよりも、既にあるリードへの向き合い方を変える方が、限られたリソースの中で商談化率を底上げしやすいという点です。特にSaaSのように検討期間が比較的短く、情報収集から比較検討への移行が早いサービスでは、獲得直後のタイミングでどれだけ的確なアプローチができるかが結果を大きく左右します。
今後は、獲得経路ごとの温度感の判定基準をさらに細かく分け、架電担当者間でのアプローチのばらつきを減らしていくことを次の課題として取り組んでいく予定です。担当者が変わっても同じ水準のアプローチができる状態を目指しています。
まとめ
SaaS企業に限らず、リード数自体は確保できていても商談化率が伸び悩む場合、多くはリードの温度感に関わらず一律のアプローチをしていることが原因になっています。リードの獲得経路や行動履歴をもとに温度感を段階分けし、架電のタイミングとトークの内容を使い分けることで、既存のリードを活かしたまま商談化率を改善できる余地は大きいと考えています。新たなリード獲得施策に投資する前に、まずは今あるリードへのアプローチを見直すことが、費用対効果の面でも有効な打ち手になり得ます。
